[おはなし]

 ここ小惑星の街では、時折星が生まれる場面に出くわす事があります。生まれたばかりの星はまだ暖かくて、弱い光を放っています。星はしばらく街の中をさまよっていることもありますが、そのうちにだんだん空へ登っていって、小惑星の仲間に入っていきます。

 私がまだ子供だった頃のこと、街で偶然生まれたばかりの星を見つけて、その星を追いかけて街の中をどこまでも歩いていったことがありました。星は最初、まるで通りの店を一軒一軒のぞきながら歩くかのようにゆっくり漂っていて、私は少し後ろを同じ速さで歩いていました。星が止まれば私も立ち止まり、星の動きが速くなると走って追いかけました。そうやって追いかけるうちに、ふとひとつの角を曲がったとき、星を見失ってしまい、そのあといくら捜しても、もうその星を見つけることはできませんでした。そして気がつけば、自分のいる場所がどこなのかも、わからなくなっていました。大人達は星のことなど無関心で、ただ通りを歩いていくばかりでした。

 空を見上げれば無数の惑星が、この街を見下ろしています。夜になると毎晩、仲の良かった友達が住んでいる星を見上げていました。小さく光る街の明かりを見ながら、向こうからもこの星のこと、見ているのかなあと、想像していました。

Asteroid Town

 この絵は、本当は井上直久さんの「イバラード」みたいにしたかったのですが、あの繊細さには及びません。井上直久さんの描く絵は、まるで夢の中の風景のようで、見たこともないのに何故か懐かしいのです。
 私の絵は、なんだか昭和30年代の少年雑誌の挿し絵みたいだとか思ってしまいました。

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